借用車で人身事故を起こした場合に、その責任を負うのは、
貸した本人、車の所有者
借りて運転をした者
の二者です。
しかし、例えば借りてきたゴルフクラブで練習中に、通りかかった人を怪我をさせた場合に、クラブの貸主もその責任を負うとなるとすると、とても異様な感じがします。
しかし、人身事故においては、貸した者も責任を負うことが、特別な法律(自賠責法)によって定められているのです。その責任は加害者と連帯して負うものです。
この責任を負う貸した者を専門用語で運行供用者責任といいます。ただし、かならず貸主=運行供用者となるわけではなく、そこまで単純ではないので、その判断は裁判所にゆだねる事があります。
一般的に、交通事故にあった自動車が借用車で運行供用者責任が認められるのは、賃貸期間の長短、賃料の有無、自動車の使用目的、人間関係などを総合的に勘案して決める事になります。決め手となるのは、貸し主に自動車の使用に関する支配権(運行支配)と自動車の使用によって享受する利益がある場合(運行利益)です。
レンタカー会社の場合には、日常の整備、管理は貸した後も存在するので運行支配はあります。そして、賃料をもらっているので運行利益もあります。したがって、人身事故の責任を負う事になります。しかし、レンタル期間を大きく過ぎている場合には、支配できていなかったこと、賃料をもらっていなかった事を理由に、人身事故の責任は負いません。
二時間の約束で借り受けたものが、再三の返還催促に応じず、約一ヵ月後に交通事故を起こした場合に車の所有者の責任が否定された例
(責任根拠:自賠責3条)
昨日、赤信号で停止中に後続車の脇見運転で追突されました。事故後、警察を呼び、事故処理をしたあとに保険会社に全てを任せて病院にいきました。
クルマはリアバンパーの破損、あと自分は頸部、腰部打撲で要治療となりました。
このあと、保険会社と加害者との話し合いになりましたが、加害者は知り合いから借りたクルマでの事故で、自身は任意保険に加入しておらず、貸主は保険を使わないと言ったそうです。
とりあえず、私の人身傷害保険を使うことにしましたが釈然としません。
加害者と貸主の過失責任の所在を知りたいところです。
人身事故については、知り合いから少し借りたという状態だとすれば、貸主にもその責任があります。つまり、貸主にも請求可能であり、その場合は任意保険を使用せざるを得ない事となります。
なお、任意保険に対しては一定の条件下で直接請求が可能です。
知人に貸した自動車が盗難に合いました。
知人に賠償責任はございますか。
知人には原則として返還に際して借用物を原状に回復して返す義務があります。つまり、弁償をしなければならないのが基本です。