踏切での交通事故は、鉄道運転者やその会社に何らかの過失があれば、損害賠償請求ができます。過失とはどの程度のものか?これから説明をします。
運転者の責任
戦前では、鉄道運転手の責任とは、「前方と注視しながら安全を図り、警笛を鳴らし時には原則をする義務」とされていました。そして、これらを重視し、運転者の過失を認める傾向にありました。しかし、現在では、鉄道運転手の減速義務等は否定され、鉄道会社に直接責任を求める傾向が強くなっています。つまり、鉄道運転手自身に過失が発生し、損害賠償義務が生ずる事は、現在主流ではありません。
鉄道会社の責任
鉄道会社の責任は、踏切自体の特徴、列車の種類や速度や回数、通過回数、見通し、過去に交通事故があったかどうかを総合的に勘案して決められます。その結果、過失が認められると、民法709条の不法行為責任により、鉄道会社の損害賠償義務が発生します。
上記の不法行為責任ではなく、民法717条1項の工作物責任が問われる場合もあります。
これは、線路の設置や保存に瑕疵があった場合に認められるもので、鉄道会社に過失は必要ありません。必要なのは、本来備えるべきものを備えず、安全性に関する様態を欠いているという事実だけです。つまり、踏切の管理状態が妥当かどうかといったところです。