被害者が交通事故の治療に健康保険を使用した時は、健康保険が負担した医療費(その多くは7割)は、健保から加害者に請求(求償)されます。
本来であれば、被害者の治療費は加害者が負担すべきところを、健保を使用すると制度上、健康保険が医療機関に支払う事になるからです。
これは、健康保険は自賠責に対しても、その医療費を請求できることを意味します。
だとすれば一見して、第三者の行為による傷病届の手続きを行うと、健保からの自賠責に対する請求で、被害者請求ができる自賠責の枠が減ってしまうように思いがちですが、現在では健康保険と被害者請求が競合した場合は、被害者請求が優先される事になっています。(第三者の行為による傷病届とは、健保に対して「加害者から受けた怪我の治療」という事を知らせるものです)
つまり、被害者請求が完了して、自賠責の枠が余っている時にだけ、健保は自賠責から治療費を回収できるという事です。
以前は、請求金額の割合で自賠責の枠を按分するのが原則で、実際は請求した早い者勝ちという考えがありましたが、現在では被害者の請求が優先されます。