交通事故による治療でレントゲンを使用した場合に、X線が胎児に与える影響を考慮して人工中絶をすることがあります。
これは、「直接的に”交通事故”による中絶」ですから、その中絶に対しての精神的苦痛、つまりは慰謝料が認められます。もちろん、その慰謝料とは別に中絶費用も認められます。交通事故と因果関係のある損害は、賠償金として認められる傾向があるからです。
なお、下記が人工中絶をした際に裁判所で認められた慰謝料金額です。
本人に10万円(S56年高裁)
支払夫婦それぞれに100万円(S51年地裁)
これをみると、事例によってかなりの差があることがわかります。
実務でも、まだまだ明確な基準が存在しないので、人工中絶に対する慰謝料の算定には困難が伴っています。