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判例:交通事故発生時の負傷者とは? ~死亡が明白なとき~

[記事公開日]2006/10/09
[最終更新日]

判例要旨

道路交通法七二条一項前段にいう「交通事故の発生時には直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」というところの「負傷者」とは、死亡していることが一見明白な者を除き、車両等の交通によつて負傷したすべての者を含む。

理由

弁護人稗田秀雄の上告趣意第一点のうち、判例違反をいう点は、引用の昭和四二年(あ)第八四八号同年一二月五日第三小法廷決定が、所論罪数関係についてはなんらの判断も示していないものであるから、前提を欠き、その余は、単なる法令違反、事実誤認の主張てあつて、いずれも上告適法の理由にあたらない。

なお、原判決が、その認定にかかる事実関係のもとで、本件業務上過失致死の罪と酩酊運転の罪とを併合罪の関係にあるとしたのは、相当である。 同第二点は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、上告適法の理由にあたらない。なお、道路交通法七二条一項前段にいう「負傷者」とは、死亡していることが一見明白な者を除き、車両等の交通によつて負傷したすべての者を含むものと解するのが相当である。けだし、人の死亡の判定はきわめてむずかしく、ことに交通事故を起した運転手その他の乗務員がとつさの間にその判定をすることは、至難のことであるから、

死亡していることが一見明白な者以外の者については、とりあえず、救護の措置をとらせるのが、被害者の救助を全うしようとする立法の趣旨に合致するものと考えられるからである。救護義務がかされる負傷者とは、明白に死亡しているものは除くが、死亡の判断は難しいからといって、明白に死亡しているものとわかるもの以外はとりあえず救護しなくてはならないといっている。

 同第三点は、単なる法令違反の主張であり、同第四点は、事実誤認の主張であり、同第五点は、量刑不当の主張であつて、いずれも上告適法の理由にあたらない。

 なお、弁護人は、、昭和四三年一二月六日に、上告趣意補充書を差出したが、上告趣意書差出期限後のものであるから、判断を加えない。 また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

 よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

  昭和四四年七月七日

     最高裁判所第二小法廷

         裁判長裁判官    草   鹿   浅 之 介

            裁判官    城   戸   芳   彦

            裁判官    色   川   幸 太 郎

            裁判官    村   上   朝   一

戦略
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