交通事故の損害は、法律上「不法行為による損害賠償」といいます。これは損害の公平な分担を基本理念として成り立っています。つまり、交通事故においても加害者と被害者の損害は公平に分担されるべきで、加害者の賠償責任の範囲は限定される必要があるのです。
その要因として交通事故では主に、下記の事で減額されます。
「過失相殺」・・・被害者の過失分を損害額から相殺すること。
「損益相殺」・・・各種の給付を賠償金から控除すること。
「素因減額」・・・被害者の心や体が要因で損害が拡大すること。
「好意同乗・無償同乗減額」・・・同乗者が運転者との人間的関係で無償同乗すること。
「自殺の減額」・・・受傷の程度で自殺した場合。
ただし、実務的には被害者の素因に基づく減額(素因減額)は、容易にすべきではないとされています。平成元年9月7日東京地裁の判決で「加害者被害者のあるがままを受け入れなければならないのが基本原則である」としています。
人はその性格、体格そして年齢、性別によってさまざまです。公平の観点から照らして著しく不当であるかという観点から判断をします。
ちなみに、文頭の「不法行為による損害賠償」は、どんなに被害者が悪かろうが、加害者の責任がゼロになることはないとされています。
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