ライプニッツ係数とは、将来受け取るはずの金銭を前倒しで受けたるために得られた利益を控除するために使う指数です。専門的には「中間利息を控除する」といいます。(特に後遺症の逸失利益という賠償金を計算するときに使用します。)
例えば、一年後に50万円を受け取るはずだったものを事前にもらったとします。すると、50万円は1年早く手に入れる事になるので、1年という期間の利益が発生する事になります。交通事故にあったがために、被害者が余分な利益を得るのは妥当でないとして、一年分の利息が差し引かれることになります。差し引かれるのは民法で定まっている年利5%で、受け取れる金額は、
50万-(50万×5%)= 47万5千円
となります。
(低金利の時代にこの5%というのには批判があります)
これが一年ではなく二年となると、
50万ー{(50万ー50万×5%)×5%}
となり複雑です。
これを計算しやすくした数値がライプニッツ係数というもので、50万円を10年間にわたって毎年得るものを一括で支払う場合には、
50万×10年×7,722(10年に相応するライプニッツ係数)=386万
となり、その単純合計金額にライプニッツ係数を掛ければ、金額が算定できるようになっています。
ライプニッツ係数とは、交通事故の後遺障害逸失利益と死亡逸失利益を算定する時に使用するもので、その喪失期間に相応するライプニッツ係数を適用します。
後遺障害の逸失利益の計算例
500万円(年収)×2.723(3年のライプ)×5%(喪失率)=680.750円
ライプニッツ係数のもとになる喪失期間については喪失期間で詳しく説明していきたいと思います。
目次
ライプニッツ係数
ライプニッツ係数を使用する場面は大きく分けて2つあるので紹介します。
生涯賃金の算定時に使用するもの
平均余命年数に対しての賠償金の算定時に使用するもの
ex、将来の治療費、後遺症の介護費や将来必要な器具等の一括払い
なお、ライプニッツ係数と同じ概念のホフマン係数というものもありますが、現在ではライプニッツ係数の利用が一般的です。
民法改正で年利が変わる
ところで民法が改正され、中間利息を控除するときの「民法で定まっている年利5%」が変更されます。今までも「低金利の時代に年利5%は高すぎる」という批判がありましたが、民法改正後の3年間は年利が3パーセントになります。そして後は3年ごとに法務省が年利を決めることになりました。
年利が変わると、当然ライプニッツ係数も変わります。
たとえば、3年の現行ライプニッツ係数は2.72ですが、改正後の3年のライプニッツ係数は2.82です。
5年だと4.32が4.57
10年だと7.72が8.53
20年だと12.46が14.8
と変更されます。