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判例要旨
被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するにあたっては、中間利息を控除する必要があるが、これをライプニッツ係数ではなくホフマン係数によって行っても良い。
平成22年1月26日判決 最高裁判所第三小法廷
理由
原審は、損害賠償額の算定に当たり被害者の将来の遺失利益を現在価額に換算する場合における中間利息控除の方法はホフマン方式によらなければならないとし、このことは最高裁平成16年(受)第1888号同17年6月14日第三小法廷判決(以下「平成17年判決」という。)の判示したところから帰結される旨判断するものであるが、平成17年判決は、上記の場合における中間利息の割合について判示したものであって、上記の場合における中間利息控除の方法について何ら触れるものではないから、原審の上記判断は,平成17年判決を正解せず、法令の解釈を誤るものといわざるを得ない。中間利息控除の方法でホフマン係数を”使わなければならないと”ライプニッツ係数を完全に否定するのは誤りだと言っている。
しかしながら、原審が、その適法に確定した事実関係の下において、上告人の不法行為により死亡した被害者の遺失利益を現在価額に換算するための中間利息控除の方法としてホフマン方式を採用したことは、不合理なものとはいえず(最高裁平成元年(オ)第1479号同2年3月23日第二小法廷判決)、原審の判断は結論において是認することができる。論旨は、原判決の結論に影響のない事項についての違法をいうものであって、採用することができない。ホフマン係数を”使う事もできる”と説明している。
よって、裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 藤田宙靖 裁判官 堀籠幸男 裁判官 那須弘平 裁判官 田原睦夫 裁判官 近藤崇晴)